天保年間創業の老舗の料亭である。店舗玄関は商店街が隣接しているので、お店の雰囲気を強調する為、両袖を土塀と竹垣で仕切り視界を限定させた。また、玄関ホールへのアプローチはなだらかな石段とし、やや斜めに溜めを創り、奥行を感じられる様に設けた。奥にある宴会場への路地は黒塗りの透かしの板塀と深草三和土(ふかくさたたき)の園路中心に極力トーンを落とた。静寂の中に奥に進むごとに徐々に水の音が聞こえ、訪れる人の気持ちが非日常にと移り変わる。中門を潜ると緑が頭上を覆い、石垣から滝が落ち流れを伝う、日常とは一変した空間が広がってくる。